君に熱視線゚

押して開くのなら頭で押し開けたのだが、悲しいかな…ドアは引き扉だった…



ただ、ココは高級レストラン。店内にはちゃんと、ドアマンが待機しているのだが、そのドアマンも自分の任務を忘れてしまう程に苗の行動は突拍子もなかった……。




── ゴンッゴンッゴンッ!

(ぬは…っ…痛、ひ……
誰か早く気づいてっ…)

苗は心から助けを求めていた。

「ちょ、もしかしてあれ…っ……やだ、苗ったら恥ずいっ」

店内から丸見えの苗の行動に中島達、女子校の一同は皆下を向く。

そして、晴樹は呆気に取られ、その姿を凝視していた。

(…っ…スゲー体張ってんな…)

眺めながら、見かねた晴樹が声を掛ける。

「……おい、早く開けてやれよ…」

ドアマンに指示を出して扉が急に開かれる。四度目の頭突きを構えた苗は店内目掛け、真っ直ぐに頭から突っ込んできた。

「――えっ!? ちょっおわぁっ!!――とっとっ…っ…」


突っ込んだ勢いに任せ転びそうになる苗!
しかし苗は踏ん張った!!



(…っ…玉子は絶対守らなきゃっ)


そう己に言い聞かすとムンっ!と力み、鼻の穴をプカっと膨らませ、苗は歌舞伎役者のようにぐっと片足で踏みとどまる。

辺りは何だか静かだった──

「‥‥‥エ‥エヘっ…ども…只今、到着しましたでし」

店内の注目を一斉に浴びつつ苗は正しく一礼をする。
そして汗を軽く拭った。

(ふぃ~焦ったっ…
大事な蛋白源がおじゃんになるとこだっただょ)

お肉少なめの田中家では玉子は大事な蛋白源だったのだ。

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