君に熱視線゚

「もぅご飯出来たから!」

苗は晴樹にそう伝えると台所に戻り、再び戻ってくる。苗はその手に大きな中華鍋を抱えてきた。


「はいはいはいー! 危ないから下がっててよ~」


苗は温めたプレートに鍋の中身を移し変えた。
部屋の中は濃厚なソースの香りが充満し空腹のお腹をいっそう唸らせる。


二つのプレートには塩味とソース味の二種類が用意されている。

そう。今夜の夕飯は焼きそばだった…

てんこ盛りの焼きそばも、育ち盛りの三つ子達と食欲旺盛な爺ちゃん、婆ちゃん達にみるみる間に片付けられていく!


「兄さん!!ボーっとしてたら喰いっぱぐれちゃうよ!!」


「えっ?あ、ああっ…」


呆気に取られていた晴樹は苗に急かされ慌てて焼きそばを頬張り始めた。

まさに弱肉強食。
そんな、言葉がぴったりの田中家の食卓。


「ぐっ‥ぶほっ…ゲホッ!」

慣れない早食いに晴樹は咳こむ。

真っ赤に息詰まる晴樹に苗は水を差し出した。

晴樹は咳き込む苦しさに目に涙を溜めて周りを見る。

飯を食うのにこんなに苦しい思いをしたのは初めてだ──

晴樹はそう実感しながら水を飲んだ。

カルキ臭い水道水も今は命の水に思える。

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