好きも嫌いも冷静に
「解った。大丈夫だ。澪さん、いいですよね?」
「はい」
余計な勘繰りをしてしまいそうになった。本屋さんでのことが頭に残っていたし、その前のことも。きっと考えすぎだと思うけど。
「伊織さん、お待たせしました。あの、こちらの方が…」
「ああ、俺の大事な人だよ」
「も゙う、恥ずかしげもなく!そんな…あ、ごめんなさい」
「いいえ。御子柴澪と言います。時々お邪魔すると思いますので、よろしくお願いしますね」
「すみれです。そんな…、私みたいな者に、丁寧なご挨拶、有難うございます。
伊織さんは私の憧れの人なんです。王子様みたいな人なんです。
あの…、キャーキャーしてすみません。でも素敵なので、つい、いつも、はしゃいでしまって…でも、それだけですから…許して頂けますか?
これからも、お話とか、させて頂いても大丈夫でしょうか?」
「そんな事、私に断らなくても大丈夫ですよ。
すみれさんみたいな可愛らしい人、伊織さんも嬉しいと思いますよ?
私が言うのも変ですけど、伊織さん、素敵ですものね。
慕われてますね?伊織さん」
「まあ、なんて言うか‥。澪も言ってるから、今まで通りでいいと思うよ?」
「キャー、有難うございます。あ…ごめんなさい。
では、お邪魔してはいけませんので失礼しま~す」
いつもと同じ、いや、いつもより速くポニーテールを揺らしながら去っていった。
「…可愛らしいですね。伊織さんの熱烈なファンだって、あんなに堂々と言えるなんて」
「ファンとか、そんな…大袈裟な。なんて言うか、騒いだりしたい年頃だと思いますよ?」
「…憧れも好きのうちです」