好きも嫌いも冷静に

ただいまっと…。

ふぅ…、何だか、『しめ』に妙なモノで腹一杯に成ってしまったような…変な感じだ。
折角大家さんがくれたものだけど、食欲が失せてしまったな…。
明日の朝、食べるか…。
取り敢えず風呂に入りたい…。
そうなると、まず溜めないとだな…。
…。俺がやらないと誰がやる…って。

俺は大家さんから貰った容器を取り出し、テーブルの上に置いた。
何気に蓋を開けてみた。
ラップに包まれた、小さく握られたおにぎりが二つ。
厚焼き玉子とつくね。
何か緑の野菜の炒め物…、あ、そうだ、チンゲンサイだ、確か。
なんとなく俺はつくねを摘んだ。
…旨い。誰もが好きな甘辛いタレの味につられ、おにぎりを一つ、口に放り込んだ。
あ…、お茶、あったかな。

冷蔵庫を覗いた。あった、あった、と。
お茶を飲み、椅子に腰を下ろした。
おっと、箸、箸。
玉子焼きを食べておにぎりを手に取った。
一口食べて、チンゲンサイも食べた。
また、つくね、おにぎりと食べ、残りの玉子焼き、チンゲンサイを食べた。
気がつけば、あっという間に平らげていた。
ハハハ。何だ?俺。
今日は食わないとか思いながら、摘み食いしてる間に完食しちまった。
美味しかったですよ、大家さん。

空に成った容器を洗い、袋に入れた。
言われた通り、朝、ドアノブに掛けておこう。
残ったお茶を飲み、風呂に入る事にした。

何だか今日は色々詰め込まれた日だったな…。
…こんな日もある。…か。
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