嘘つきな愛の詩
「せ、先輩こそ…
何か…頼み忘れですか?」
彼女がいるのに優しくなんてしないで欲しい。
一瞬、不思議そうにした先輩が
「あ、ああ?いや、別になんでもないけど。」
そう言って困ったように髪をかきあげた。
「…なんでそんな、逃げるように離れるの?」
「そ、それはだって…」
彼女。なんて言葉。
私から言わせないで欲しい。
返事に困って口をつぐんだ私に
ゆっくり近づいて来る。
そして
キュッて優しく抱き寄せた。
ビックリして体が動かない。
会社では内緒って言ったくせに
ついさっき彼女の存在をカミングアウトしたくせに
どうしてそんなことができるの?