嘘つきな愛の詩



「そっか…騙してたのが分かったんだ。


分かった。



もう会いに行かない」

泣きそうな顔でそう言って

私の横をスルリと横切って行った。


瞬間にそこに残ったのは先輩の香りだけ。



さっきまで


抑えていた涙がぶわっと溢れ出して


あたしは一人自分の部署にとぼとぼ戻った。

「詩っ⁈」

泣いたまま戻った私を見つけて


いるはずのない先輩が驚いて、勢いよくかけてくる。


「どうした?なにがあった?」


「えっ?せ、先輩ッ⁈なんで⁈」

「なんで⁈ってこっちのセリフだろ⁉コーヒー買いに行ってなんで泣いて帰って来るんだよ⁉


どうした?

何かあったか?

転んだか?

どこかぶつけたのか⁈」

ひどく慌てた様子の先輩。


驚き過ぎて涙が止まった。


< 26 / 34 >

この作品をシェア

pagetop