恋に落ちるなら君がいい



結婚してもなお


愛されることはなく


愛されたくて


もがいている。




まるで愛に飢えた化け物のように

本性を隠し

飾り

取り繕い



自分という本質を

叩き壊して小さな箱に閉じ込めて…



でも


慧一は全てを知ってしまった。


慧一に愛してもらえる僅かな希望も砕け散った。



全部


無くした。


今までの努力は全部水の泡になってしまった。


そう

慧一が私に終わりを告げに


戻ってくるなら


その日


私という存在に終わりがくる…。


でも


もうそんなこと


どうでもいい。


私に

産まれてきた理由も意味もなくていい。



全部要らないから


ただ一度


慧一から

嘘でもいい。



抱きしめてもらいたかった。


あの人懐こい笑顔を私にむけて欲しかった。


心から

包むように


私の名前を呼んで欲しかった…


偽りの結婚生活の中でも

たった一度だけ

一瞬だけでいい


私を


見て欲しかった…。



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