恋に落ちるなら君がいい
「野嶋君っ、慧のこと…何か知ってるのっ⁉」
身を乗り出した私の手の中で
また
携帯が鳴り始める。
「電話…偽りの旦那さんからでしょ?
慧のこと知りたかったら
橘から俺を誘ってよ」
そう言い残すと
野嶋君は私の横をすり抜けて
会計を済まし店を出て行った。
慧が…
私達のすぐ側にいる?
頭の中が真っ白になって
呼吸が苦しくなる。
野嶋君はきっと
何もかも知っていて
もしも話しをしてきたのかもしれない…。
そう
もしもじゃない
もしも話しを…。
慧が私達のすぐ側にいる。
それがもしも真実なら…
私は
慧に会いたい。
責めたいわけじゃなくて
謝られたいわけでもないけど…
慧が生きて
この街にいる。
それをこの目で
確かめたい。