恋に落ちるなら君がいい
夕方6時タクシーでレストランに行くと、私達のほうが先に着いたらしく席に案内されたけど…
「本当にここを貸し切っちゃったんですか?」
30席はあるレストランにお客は私達だけで
穏やかなピアノ伴奏だけが綺麗な音色を響かせて入る。
「誰もいないほうが周りに気を使わずにゆっくり過ごせるだろう?
澪、指輪はちゃんとはめているか?」
名前を呼ばれて、一瞬きょとんとしてしまった。
「は、はい。いつもちゃんとはめてます。」
慌てて薬指を顔の前にかざすと、楓社長は納得したように頷いた。
「お相手の方は…どんな方でしょう?」
少し不安気に聞いた私に彼は安心させるかのようにいたずらな笑顔を浮かべた。
「安心しろ。俺もまだ知り合って日が浅いが、なんというか…
時期社長にしても、オーラ澪並みだ」
「えっ⁈」
オーラが私並みっていうことは…
普通レベルってこと?
それはつまり…
私をからかってる?
「そりゃあ私は凡人ですけどっ、相手の方に失礼ですよ」
「澪も会えば分かる」
…っ。
楓社長はブラックジョークなんか
言うタイプじゃないでしょうに。