オフィス・ラブ #∞【SS集】
今日も、松岡は休みだ。

自席で、待てども待てども出社しない先輩社員の机を眺め、うんざりした気分でため息をついた。


今日は営業と一緒に、来月行われるイベントの具体案を相談しに行く予定だった。

堤が作成した企画書は、松岡のデスクに積まれたまま埋もれている。

昨日、遅くまで彼が残っている雰囲気だったので、きっと今朝までにチェックが入っているのだろうと信じて今日まで待った。

けど企画書は置いた時のままあそこにあり、なんの報告もないまま、松岡は休むようだ。


それはあまりに、ルール違反じゃないか?


堤は松岡のデスクから企画書を掘り出すと、マネージャーのところへ持っていき、内容の承認を得た。



「今日の打ち合わせ後、実施企画書に落としこみますので、またご覧いただいてもいいですか」

「もちろん。先日のノベルティの企画も、営業からいい手ごたえが来てる」

「実施が決まったらご連絡ください。僕が担当します」

「抱えすぎじゃない? 大丈夫?」

「オーバーする前に、ご相談しますから」



松岡の惨状を見ながらも何も改善しようとしないのん気なマネージャーへ、軽いあてこすりのつもりだったが、さすがキャパあるねえ、と素直な返答が来ただけで、気が抜けた。


のん気だ。

ここはやはり、非生産部門だ。


結局、打ち合わせは堤がメインで行い、修正事項もすべてすりあわせた上で、実施企画書を制作した。

本来のこの企画のメインは、松岡だ。

別に誰がその名前を背負っていようと、どうでもいいけれど。

松岡がいる限り、堤は、なんでも自分ひとりでやってしまうわけにいかない。



(全部自分でやったほうが、よっぽど楽だよ)



分担のための分担、という無駄な行程が、堤の不満を大きくしていた。


堤は効率重視でも、成果重視でもない。

楽しく仕事をしたいだけだ。

けれどそれには結局、効率と成果が伴う必要があるのだ。

だってそれらがあったほうが、何倍も楽しくなるじゃないか?

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