オフィス・ラブ #∞【SS集】
半端な時間のため、電車内は空いている。
隣に立つ兄の容姿は、妹の私の目から見ても、レベルが高い。
長身で、筋肉質で、バランスがよく。
無愛想な顔は、程よく凛々しく、程よく涼しく、程よく甘い。
この時期になって着ることが増えたスーツを、たいしたこだわりもなく、楽々と着こなしていた。
「頑張ってね」
「お前も」
先に降りる私が声をかけると、そう返してきた。
私も明日、本命の二次面接なのだ。
よく覚えてたな、と思うと同時に。
こういうところが人気の秘密かもしれない、と思わないでもなかった。
今でこそ、公務員とメーカーが人気の就職先だけれど、当時は広告代理店といえば、花形で。
彼にしてはミーハーなチョイスだと思っていたら、そうでもなかった。
「勢いのあるところには、たぶん、できる奴がいる」
そういう人間と仕事をしたいのだと、そう言った。
なるほど、ある意味どこでもよかったわけだ。
偶然にも、私と彼の内定通知は同じ日に郵便で届いて。
ああいう性格でも、やっぱり肩の荷がおりたのか、飲もうぜ、と珍しく言うので、一緒にお酒を買いに出たりした。
隣に立つ兄の容姿は、妹の私の目から見ても、レベルが高い。
長身で、筋肉質で、バランスがよく。
無愛想な顔は、程よく凛々しく、程よく涼しく、程よく甘い。
この時期になって着ることが増えたスーツを、たいしたこだわりもなく、楽々と着こなしていた。
「頑張ってね」
「お前も」
先に降りる私が声をかけると、そう返してきた。
私も明日、本命の二次面接なのだ。
よく覚えてたな、と思うと同時に。
こういうところが人気の秘密かもしれない、と思わないでもなかった。
今でこそ、公務員とメーカーが人気の就職先だけれど、当時は広告代理店といえば、花形で。
彼にしてはミーハーなチョイスだと思っていたら、そうでもなかった。
「勢いのあるところには、たぶん、できる奴がいる」
そういう人間と仕事をしたいのだと、そう言った。
なるほど、ある意味どこでもよかったわけだ。
偶然にも、私と彼の内定通知は同じ日に郵便で届いて。
ああいう性格でも、やっぱり肩の荷がおりたのか、飲もうぜ、と珍しく言うので、一緒にお酒を買いに出たりした。