オフィス・ラブ #∞【SS集】
身体を酷使しすぎて、喋るのもだるい。

抱えたひざに顎を乗せて、もう一度寝ちゃおうかなあと考えていると。

このベッドさ、という声がした。



「うるさいな」

「ああ…」



確かに。

別に傷んでいるわけじゃないんだけど、きしむ音が、けっこうするのだ。

秀二も、下に聞こえそう、とよく笑っていた。

と、つい思い出して、罠にかかったことに気がつき、はっと頭を起こす。


新庄さんが、ほおづえをついて、冷たい目で私を見あげていた。



「わかったか」



返す言葉もない。



「別に、比べてるわけじゃありません」

「当たり前だ」

「新庄さんに、言われたくない」



たっぷりいろんな経験をして、ことあるごとに、それを私に思い知らせるくせに。



「本当に、棚に上げるよな」



低くそう言って、髪をかきあげて煙を吐く。

新庄さんの部屋の家具を気にしていたのは、私のほうだ。

再び、返す言葉もない。



「でも、私は引っ越したし…」

「そりゃ、どうも」



苦しい言いぶんを、軽くあしらわれる。


妬いてるだけのくせに、偉そうに。

私は身体を伸ばして、もう一度新庄さんの隣に横になった。

ぴたりと肌を寄せても、彼は意地になっているのか、こちらを見もしない。



「あんな小僧に、妬かないでください」

「気分が悪いだけだ」



それを、妬いてると言わずして、なんと言うのか。


仕方ないなあ。

言われてみれば確かに、気分がよくないというのもわからないでもないから、そのうち替えようかな。

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