奏で桜

4

ー私は走った。

気づいたときには無我夢中で
走っていたんだ。

あの時、私は何もすることが
出来なかった。

ただ、そこに在る樹木のように
見守ることしか出来なかったんだ。


結局、彼女に私の言葉は、
届くことがなく、行ってしまった。

私には彼女を止められなかった。



だから…だから、もう止められるのは

〝あの人〟しかいないんだ…!








「アルトくん…っっ!!

ティアナちゃんが!
ティアナちゃんがっ!!」

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