奏で桜
⑤心変
はちみつ生姜湯のほのかな香りが
部屋の中をほんわりと包みこんだ。


その日は冬の気候に
寄り添うかのように、朝から雪が
しなやかに降っている。


部屋自体が白い壁のせいか、
一段と寒く感じると思えるが、
意外にもそれほど寒くはない。
それどころか、熱く感じていた。


僕は起床した頃から
身体が妙に火照り、
なんとなく気だるかった。

つまり、体調が良くなかったのだ。

僕は白い壁を見ながら小さく
息を吐いた。








…〝あのとき〟僕は〝何故〟
あんな行動を取ったのか自分でも
わからなかった。
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