イケメン御曹司に独占されてます
「福田、そんな格好のまま寝るな。……起きて」
「ふぇ……?」
瞼を開けると、間近に池永さんの顔があった。
急激に意識がはっきりして、そのまま眠ってしまったことに気づいた。慌てて体を起こす。
「あの……私眠って……」
「このところ忙しかったからな。今日は気疲れもあっただろうし」
そう言いながら池永さんがベッドに腰掛ける。手にはお嬢様たちに取り上げられたストール。
思わず手を伸ばした反動でベッドが軋み、寝ぼけて不安定だった体がバランスを崩した。
とっさに腕を掴まれて支えられる。はっとして見上げた顔は思いもよらないほど近い。眼鏡の奥の瞳が危うく揺れるのを、息苦しいような、もっと見ていたいようなよく分からない気持ちで見つめる。
「あ、あの、私……」
「今日は嫌な思いをさせて済まなかった。神無月……縁談があった同級生の両親が来てたから、縁談を断ったことを祖母と一緒に謝罪したよ。向こうもお前に対する非礼を詫びていた。彼女も落ち着いて、直接謝りたいと言っていたがそれは断った。お前、すごく怯えていたし……。お前に酷いことをした相手だが、俺にとっては同級生だ。……許してやってくれないか」
掴んだ腕を離さないまま、池永さんが苦しげな表情を浮かべる。