イケメン御曹司に独占されてます
明日現場に入るはずの材料を、発注リストを繰って確認する。
通常、メーカーに鋼材を発注し製品ができると、一旦最寄りの物流センターに集められる。

そこで鋼材は出荷指示が出るまで保管され、納期に間に合うように陸路をトラックで配送する流れになっている。

太平洋側にある物流センターから日本海側の現場まで、余裕を持っての日程は二日間。


物流センターからトラックが出発するのは午後三時。本来なら前日の朝に手配の連絡をするのが決まりだ。


橋梁用の資材は一枚一枚がオーダーメイド。
この前滝川さんも言っていたけれど、代わりが利かない世界にひとつだけの材料だけに、市場に出回っているもので代用ということは不可能だ。



「ごめん……。ここ二三日、プライベートで色々あって、ちょっと仕事を休んでた。完全な僕のミスなんだ」



「佐藤さん、何かあったんですか?」



「いや……。萌愛ちゃんだから話すけど、実は妻が出先で倒れて救急搬送されてね。臨月だから、ちょっと大変で」



「そんな……」



「大丈夫。母子ともに危険は脱したんだ。しばらく入院ってことになってしまったけど」



言葉を失う私に、穏やかな声で気遣うように言われる。いけない、配慮するのはこちらの方だ。
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