イケメン御曹司に独占されてます
月のうち一番手が空く時期ということもあり、頼みの部長も午後から地方の取引先に出張中だ。恐らく週末の明日は接待ゴルフだろう。


——何かあれば俺に連絡しろ——


野口くんの言葉が脳裏を過る。


「すみません。今日は営業職が全員外出していて誰もいないんです。今から物流センターに掛け合ってみます」


「済まない、迷惑かけて。萌愛ちゃん、頼む」


一旦佐藤さんとの電話を切ると、私は内線で物流センターの担当者、丸岡さんに連絡を入れた。


時刻は既に一時半を回ったところ。
事情を話したところで、今日の三時の便の変更など不可能だの一点張りだ。


「萌愛ちゃんさぁ、トラックに鋼材積むのが一体どれだけ大変か、分かってる? 何トンもの鋼材をまるで積み木みたいに組み合わせて、しかも効率的に積まなきゃいけないだよ。特に今日は出荷が多いから、今更変更はもう無理!!」


いつもは優しい丸岡さんも、流石の無理なお願いには冷たい。
そう、土台無理なお願いだ。トラックの出発時間は計算されたタイムスケジュールで管理されていて、一分たりとも遅れることは許されない。
< 213 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop