イケメン御曹司に独占されてます
結局そのあと、池永さんが帰ってくることは無かった。
特に急ぎの案件も無かった私は、早々に仕事を切り上げて久しぶりに七海子の部屋に泊まりに来ていた。
定時で上がった私たちは七海子のマンションがある駅で降り、手早く食材の買い物をして部屋に入った。
ふたりとも大学から一人暮らしをしているせいか、料理をすることはそう苦にならない。
今日はオフィスの近くで買った少し良いワインに合うよう、小洒落た前菜をいくつか作った。
「すごーい!! 七海子、これめちゃくちゃ美味しい!!」
「へっへ〜。それ、こないだ行ったフレンチで出たやつ真似して作ってみたんだ〜。たぶん蜂蜜と林檎が入ってるような気がしたから入れてみてけど、当たりだね」
七海子が作ったレバーペーストは、軽くトーストしたフランスパンにぬって食べると絶品だった。
今日買ったフルボディの赤ワインに、本当によく合う。
専務の接待に同行することもある七海子は高級な店で食事をすることも多くて、持ち前の勘の良さから、その時食べたものをこうやって再現することができる。
綺麗で、頭が良くて、優しくて。
その上料理まで上手いなんて、神様はなんて不公平なことをするんだろう。
こんな彼女を持てて、野口くんはホントに幸せだな。