イケメン御曹司に独占されてます

「このホテル、この間家のせがれが結婚したばかりでなぁ。世話になったから、欠席ってわけにもいかなくて。……迷惑だったかな」


私にソフトドリンクを渡しながら、専務が笑った。


「こちらこそ……。こんな華やかな場所に連れてきて頂いて、本当に嬉しいです」


私が言うと、専務が優しげに目を細める。


「福田さんは秀明くんの下で相当頑張ってくれているそうだね。この前、滝川に会う機会があって、彼女が褒めてたよ」


「専務は滝川さんをご存じなんですか?」


「ああ。昔、彼女の上司だったから。あれでも、三十年前は可愛らしい女の子だったんだよ。いつの間にかあんな怖い鉄の女になってしまったけれど」


茨木専務は鉄鋼メーカー出身。いわゆる『天下り役員』ということになる。
そのせいかもともとの古巣を相手にしている池永さんのことが可愛いらしく、よく話をしているのを見かける。

「秀明くん、表面上は厳しいけれど、本当は思いやりのある男だから……宜しく頼むね」


改まった口調で専務に言われ、こっちの方が恐縮してしまう。
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