流れ星に4回目の願いを呟く時。
2. 思考回路は停電寸前

 2. 思考回路はショート寸前?

 
 12月。その言葉を聞くだけで、皆の心が浮き立つ気持ちは分からないでもない。小さな子どもから(一部の)大人達にとって、非常に心温まるイベントがこの月には控えているのだ。

 しかし、この月から次に控えるチョコレート合戦の頃までは、心まで凍てつく寒い夜が延々と続くことは決して忘れてはならない。


 今年、奈留早町は去年より10日ほど早く初雪が観測された。山沿いを走るバスたちは道を塞がれ、春まではお休み期間に入る。町一番の観光地である山頂のダム湖も、客足を炬燵に盗られ、寂しそうにひっそりとその湖面を白く染めた。


「寒い。頭も痛い。」


 そして今日もまた雪は降り続いている。文句を言いながら園へとを急ぐ私を、冷たい雪風と、鈍器のようなもので殴りつけられるような激しい頭痛が襲う。


「あんたが飲みすぎるから。もう、遅刻しちゃうじゃない。」


「だって。」


 高山保育大学付属ひかり保育園は現在、クリスマス会の準備が急ピッチで進められている。


 そこで保育士として働く山崎ホタルは、現在、二日酔いの真っ只中にいた。







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