流れ星に4回目の願いを呟く時。
 その為、日々の家庭の中でもピリピリすることがよくあった。例えばやり切れなくなった父親が母親に愚痴ばかり零すようになる。それが母親のストレスにもなる。


 だからカケルは両親の顔や細かな言動を見て、頼み事をしたりする。実に子どもらしくない能力を身に付けてしまっていた。


 前まではあれほど大好きで、よく父親に話してもらっていた祖父の昔話も、聞けなくなった。いや、聞かなくなっていた。


 お父さん、お母さんと呼んでいたカケルが、父さん、母さんと呼ぶようになったのはこの時期だったという。


 大学時代に子どもの言語の発達について勉強していた私だが、この現象を説明するのは難しい。


 おそらく彼の中で、毎日が自分のキャパを超えた、大人になるための思考回路を準備しなくてはならない、ビッグバンのような爆発的何かが起こっていたのだろう。



 そんな折、彼の祖父が亡くなった。


 カケルが12歳。山が色を変え始めようとしていた小学6年生の秋だった。







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