流れ星に4回目の願いを呟く時。
 それからというもの、父親は人が変わったように仕事に打ち込むようになり、なかなか家に帰らないようにはなったが、家の中でも人が変わったように、母親と喧嘩することは一切無くなっていったという。


 しかし、幼きカケルには未だ闇があった。


 カケルの姉は町内でも美人で勉強も出来て有名だったが、どことなくカケルとは似ていなかった。その姉には実は家出癖があって、祖父亡きあとはそれに拍車がかかったように、滅多に家に帰らなくなっていた。


 その所為で姉と両親の仲は最悪になり、カケルはまた両親の機嫌を伺う様になっていた。


 喧嘩は確かになくなったのだが、その代りに家の中は全く音を失っていた。誰も何も話さない。口を開いてしまえば、また前に戻ってしまうという恐ればかりが渦巻いているのだ。


 それはカケルも同じだった。そうに違いない。


 しかし、幼いカケルには全てを耐えられるものでは無い。そしてその反動が、学校へ行かないという所へと繋がっていた。








< 67 / 210 >

この作品をシェア

pagetop