流れ星に4回目の願いを呟く時。
 卒業式の日の朝は清々しいほどの晴れ空だった。


 カケルを何処かで避けていることに、カケルは気付いていた。だけど、卒業式の少し前に、私は真紀子とカケルと3人で放課後の教師をバックに写真に写った。何処かでこれが最後になるかもしれないと思い、私から誘って撮ってもらったのだ。


 そしてその写真を渡すことも無く、誰にも知らせぬまま、カケルは静かに友枝を去って行った。


 どうやら真紀子にも知らせていなかったらしく、卒業式の日、真紀子はカケルの名前が呼ばれるのを聞くと、大粒の涙を浮かべていた。


 私は泣かなかった。


 もちろん、後悔はあった。


 だけど、何処かでカケルがいなくなってホッとしていた。


 カケルが私たちのもとから去って行って、何か私を縛っていたようなものが嘘かのように、すっと消えたからだと思う。


 なんて、強がりよね。


 だけどやはり私は泣かなかった。


 だけども、誰よりも泣きたかった。寂しかった。カケルが好きだった。









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