流れ星に4回目の願いを呟く時。
「もともとは継ぐ気はあったんだろうけど、お父さんと仲が悪くて、家を出て海の勉強をしてたの、彼。」


 由美子の幼馴染である祐樹は、この海の無い雪の町で、ずっと海に憧れて育ったのだという。


 本やテレビでしか見たことのない、底知れない広さを持った青い世界に夢を馳せていた彼は、高校を卒業して海洋大学に進んだのだが、夢半ばで諦めてしまった。


「彼ね、海好きのくせにカナヅチなの。」


 このスキー場。今は町でも押しも押されもせぬ人気産業なのだが、由美子が未だ学生の頃は客も疎らで、倒産寸前だったらしい。


 スキー場は冬がシーズン。その冬に客が来なければ売り上げにはならない。


 だから、夏のスキー場は由美子や祐樹たちの秘密の遊び場だったという。


 夏にも関わらずに頬を赤く染めて遊ぶ由美子の姿が浮かぶようだった。


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