流れ星に4回目の願いを呟く時。
 諦めて、自分も謝りに行こうとした時だ。

 僅かに町の上空に霞んでいた薄い雲が、町を染め始める夕日の登場にその役目が終えたかのように晴れた瞬間だった。


 町の地平線の向こうに輝く赤い世界が顔を出した。遠い遠い町の向こう側に、きらきらと輝く水平線が続いていた。


 海だった。


 旅行にも行かない原口家とは違って、由美子は海を見るのは初めてではなかったが、それは限りなく何よりも美しかった。


 祐樹が思いを馳せる海。その気持ちが分かった気がした。


 「でも、それを誰にも、彼にも言わなかったの。」


 由美子は少し悲しい表情を浮かべていた。


 「なんだか、もしそれを教えて海を見てしまったら、祐樹がそのまま何処かへ行ってしまう気がして、出来なかったのかもね。」





 
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