私の小さな願い事
紅葉狩りの後、優からこっぴどく怒られた


怒られついでに、聞きたいことがあった


「一ツ橋様から、唇同士をくっつけられたの
それって、何の意味があるの?」


私は、とてもいけないことを聞いたらしい


「依里… 一ツ橋様に、唇を?」

「そうなの、なんか舌とか入ってきて
胸も触られて…… ねえ、何だったの??」


大きな口が開いたまま、優は真っ青


「他には?」

「それだけだよ
怖くて、逃げなきゃって思って…
あっ!!投げ飛ばしちゃった!!!」


これは、怒られる


そう、覚悟して優を見ると


「偉い!!!」


誉められた

だけど、すぐに真っ青から真っ赤になって

「許せませんね!!」

「ごめんなさい」

「依里じゃなくて、一ツ橋様です!!
こんな純粋な姫様を断りも無しに
家茂様にご報告します!!!」



凄い剣幕で、部屋を出ていき

止めようにも

すでにいなかった


優秀な隠密だって、なんだか笑えた




夜、寝る前に改めて聞いた


「一ツ橋様のアレは、なんの意味があるの」

「アレは、夫婦がすることです!!
一ツ橋様は、嫁入り前の姫様に
勝手に触れて口づけして、許せません!
依里様は、私がお守りしますから!!」


なるほど……


口づけというものか

夫婦でないのに、しちゃあそりゃダメね


「優、ありがとう!!頼りにしてる!!
一ツ橋様が悪いことしたんだから、私が投げ飛ばしても、仕方のないことだよね?」

「はい!!
よくぞ、貞操を守られました!!」



貞操???


「依里様が、どなたかに嫁いでから
することです
お身体を触られては、なりません!!」


わからないことだらけだ


「わかった!!触らせない!!」


優が久しぶりに私に敬語混じりに

キリキリして話す





だけど……




一ツ橋様は、なぜ初めて会うのに

夫婦がすることをしたのかしら?




わからないことだらけ……







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