鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語
「相変わらずだな瀬田。
お前はわかった、着席。

立花、起立。
さ、進路を教えてくれ」

委員長の一言で俺は座り、美空は立ち上がった。
恥ずかしがりだと知っているクラスメートたちは、静かになった。
いつも立ち上がっても、美空が小さな声しか出さないのを知っているんだ。

「えと、あの……おうちのこととか……。
してます……」

かぁぁ、と音でも出そうに顔を紅くして。
そう言ったけど、皆、意味が分かっていない。

「えっと、実家の喫茶店のお手伝いかな?」

「あ、瀬田が就職して忙しいから、代わりに引越しの準備する、とか?」

「もしかして、花嫁修業で料理の勉強とかじゃない?」
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