土方歳三と運命の人~沖田総司と運命の駄犬 番外編~




総司の非番の日、梓が、少し、不安げに、こちらに来た。




梓「おはようございます。土方さん。今日は、すみません。よろしくお願いします。」




土方「あぁ。別に、構わねぇ。」




梓は、俺の横に座る。




書簡整理を手伝わせる。




しばらくして、それも、終わる。




ちょっと、気晴らしに、外に、連れて行ってやるか・・・。





俺は、梓を連れて、町をブラブラ歩く。




梓は、やはり小間物屋や呉服屋など、おなごの好きそうな物を嬉しそうに見ている。




土方「なんか欲しいモンがあるなら言えよ?」




梓「ありがとうございます!でも、いいんです。この格好だし、女って、バレちゃダメって、沖田先輩が言うので・・・。ありがとうございます。」




梓は、少し、寂しそうに、小間物を見て、棚に返した。






それから、近場の甘味処で、団子を食べる。




梓「土方さんは、食べないんですか?」




土方「あぁ。甘いものは、あまり、好きでは、ないからな。」




梓「そうですか・・・。沖田先輩なんて、どれだけ入るんだってくらい食べますよ!」



土方「あぁ。あいつは、甘味が好きだからな。」




梓が、総司の事を、楽しそうに、話するのを見ると、モヤモヤする。




俺らは、甘味処を出て、屯所に帰る。




その帰り道。




小間物屋の主人が、後ろを追いかけてきた。




主人「土方様っ!お待ち下さい!」



土方「ん?」



主人「今日の夕刻前に、前に、頼まれていた・・・。」





コイツ何を言う気だ。




俺は、主人の言葉を切った。





土方「あぁ。それが、何だ?」




主人「お届けに上がります。」




土方「あぁ。頼んだ。」




すると、主人は、頭を下げて、踵を返した。





梓「土方さん、何か、頼んでいたんですか?」




ヤバい。




土方「あぁ。ちょっとな・・・。前に、 芸妓の所に行ったときに、いい匂いだった香袋があってな。それを、贔屓にしている芸妓に贈ろうと思って、いくつか買った。んで、お前にも、一つどうかと思ってな?いるか?」




梓「香袋?って何ですか?」




土方「匂いの袋だ。」





梓「匂いの袋?香水みたいな感じなのかな?」



土方「まぁ、そんな所だ。」



梓「じゃあ、女って、思われないかな?・・・土方さんが、良ければ、下さい!」



土方「あぁ。夕刻前に届くらしいから、届いたら、知らせる。」



梓「はい!ありがとうございます!」



梓は、嬉しそうに笑う。



そんな顔を見ると、口元が緩んだ。



屯所に帰ると、皆は、稽古をしている。



梓「ここの人は、皆、剣道の練習してるんですね。」




土方「あぁ。稽古は、絶対だからな。俺らは、強くなければ、ならない。」




梓「へぇ・・・。私にもできるかな?」




土方「やってみるか?剣はやっていても損はない。覚えてみるか?」




梓「はい!」




土方「じゃあ、庭でするか・・・。」




庭へ向かう途中で、小間物屋が来た。




小間物屋「品物をお届けに上がりました。」



土方「あぁ。礼を言う。わざわざ、すまねぇな。」




小間物屋「いえ。」




俺は、部屋の文机に、稽古が、終わったときに、褒美で、渡そうと考えて、香袋を置いた。




庭に出て、梓と剣を交える。




ヒュ。ヒュ。ヒュ。




土方「こうやるんだ。」



俺は、見本を見せる。



ビュン。




梓「やった!鳴った!」



喜んでる・・・。




軽く、竹刀を交える。



向かい合って、ゆっくり竹刀を、交えてると・・・。




梓「うわっ!」




梓が前に、つんのめり、俺に、倒れかかってきた。




土方「危ねっ!」




ギュッ。




はぁ・・・。間に合った。




俺は、梓を、抱き止めた。





梓「あ、ありがとうございます。」




土方「いや・・・。」




懐かしい梓のぬくもり・・・。




以前は、総司の体で、恋仲に見せるために、抱きしめてたが、あの時とは、確実に、違う感情が、自分の中にあった。




俺は、少し、腕の力を強めて、自分の胸に、梓を手繰り寄せて、梓の肩に、自分の顔をうずめた。





土方「梓・・・。」




しばらく梓のぬくもりを感じていた。




梓「土方さん・・・?」




その声に、フッと、意識が戻る。




俺は、何をしてるんだ?





土方「すまん。少し立ちくらみだ。」




俺は、とっさの嘘をついた。




梓「だ、大丈夫ですか!?」




土方「あぁ。それより・・・。」




俺は、梓を、反転させた。




後ろからギュッと抱きしめた。




梓・・・。




お前に、こんな気持ちを、抱くとは、あの時代にいたときには、欠片もなかったのに・・・。




お前は、俺の運命のおなごなのか?





梓「土方さん・・・。大丈夫ですか?もし、しんどいなら、練習は・・・。」




梓は、俺を心配そうに、首だけをひねり、俺の顔を覗く。




土方「大丈夫だ。」




そして、後ろから、梓の手を握り、竹刀を持たせた。




土方「折角だから、ちゃんと、覚えろ。副長自ら、教えてやってるんだ。」





梓「はい!あ、ありがとうございます!」




梓は、嬉しそうに、竹刀を振っていた。






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