強引な次期社長に独り占めされてます!
「化粧して目元が変わるわけじゃないし。そもそもお前、ここにホクロあるし。病院で確かめたから」

耳朶をつままれて、瞬きをした。

「いつまで顔を隠しているつもりだよ、お前は」

「会わす顔がないと申しますか、なんていいますか……」

「……俺は今、普通に目の前にいるんだけどな?」

そうだけど。うん。わかってるけど。

しぶしぶ手を外すと、主任が仮面の中で笑っている。

「本木さんは化粧が得意なんだ?」

「芽依はブライダルメイク担当ですから……」

「そうかそうか。ところで何か食ったか?」

「何か持って来ましょうか? それよりも、耳からいい加減、て、手を離して下さい」

どうしていいかわからずに俯いていくと、頭上でふっと笑われて耳から手を離してもらった。

めちゃくちゃ顔が熱いよ!

「前にも言ったかもしれないが、立食だと食った気がしないんだ。他の奴等に見つかる前に、出ないか?」

「え……でも……」

「それとも、ファントムらしく、拐うか?」

またどす黒くなった雰囲気に、一瞬、飲み込まれそうになる。

が、頑張れ私。何を考えてるのかわからない主任に飲み込まれちゃダメ!

「芽依が……いますから」

「どうせまた、彼氏のところに飛んでいったんだろ?」

そうなんだけど。

「しゃ、社会の一員としては、会社主催の催しを途中で中座は問題が……」

「顔を出せばいいだけだろ。社長の長いスピーチ聞いたら、後は無礼講」

かなり失礼な事を言っている気がしないでもないですが?
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