強引な次期社長に独り占めされてます!
それを眺めながら溜め息をついた。

私は流されやすいのかなぁ。本当に自分にがっかり。もう、どうとでもなれだ。

空いている方の手でバックをまさぐると、意を決して預り札を出してコートを受け取った。

振り返ると、主任は仮面とマント外して、バックに無造作に入れている。
そして白い手袋を取りながら、コートを着ていた私を見た。

「コートは黒か」

「普段着は黒なんです! そう言ったと思いますけど」

「あー……そういやそうか。まぁ、たまにはハメを外せ」

それは芽依にも言われますから。しかも、死神さんだった主任も似たようなことを言っていました。

私はキリッと主任を見上げる。

「どこに食べに行くんですか?」

「クリスマスだから、洋食かな。昨日のは忘年会の勢いだったから」

昨日は和風でしたもんね。

「何か食いたいものあるか?」

「なんでもいいですよ。私に選択権があるとは思えないんですが」

主任もコートを着て、それからクスリと笑った。

「洋食だとワインかな。飲んだことあるか?」

「ないです。甘いですか?」

「甘いのもあるにはあるが……とりあえず行くか」

また手を握られて、エレベーターに向かう。

……掴まなくても、逃げないんですけどね。

会場だったホテルからタクシーに乗り込み、行き先を告げてからお互いに無言になった。
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