強引な次期社長に独り占めされてます!
「詐欺だ……。とても丁寧で説明の長い、ただ単に真面目な人だと思っていたのに」

「何気に毒吐くんじゃねぇよ。真面目な口聞いてりゃ、不公平とか言われなくて済むだろ。もともとはこんな話し方だよ俺は」

「そうなんですか?」

チラッと主任を見ると、不思議そうな顔をしたのに気づいたのか、重々しく頷かれた。

「一部女子に嫌がられてから、主任になった時に改めた。そもそも俺は口下手なんだよ」

少しだけふて腐れたような、不服そうな顔をしている。

「口下手……なんですか?」

仕事中の主任は、いつもクドイくらい丁寧に教えてくれるけど?

「野間いわく、意味が通じないらしい。それなら、一から説明したら相手にも伝えられやすいだろう。言った言わないで仕事にも支障あったし」

なるほど。その為に、クドイ長口上の説明なのかぁ。

「以心伝心なんて、滅多にない世迷い言だぞ、お前」

「はぁ……」

古きよき諺な気がする……あ、四文字熟語だったかな?

どちらでもいいけど、どうでもいい物思いを破ったのは、運転手さんの「着きましたよ」と言う声だった。

タクシーを降りると、閑静な住宅街に見える。

まだクリスマスらしい、個人宅のイルミネーションが綺麗……だけど、住宅街?

え、どういうこと? そもそも誰も歩いていないんですけど?
もしかして、主任が手料理作ってくれるとか、そういうこと?

まさかね? いきなり部下に手料理は引いちゃうでしょ。あり得なーい。

あり得ないけど、この状況事態が普通“あり得ない”んだって!
< 118 / 270 >

この作品をシェア

pagetop