強引な次期社長に独り占めされてます!
「すっかり忘れ去られてるってのは、正直言ってムカつくな」

「……は? え? だって、あの。お試しに主任でって話なら、私は承知したつもりはないんですけど」

膝の上に乗せられて、睨まれるいわれもないんですけど……。

「だから忘れてるって言ってんだよ。言っておくが、そういうことになったのは、お前を部屋に送る途中でだ」

「えー……」

全く覚えていませんけど。

考えてもわからないし、思い出せないからぼんやりしていたら、主任は溜め息をついて、私をベッドに座らせてから立ち上がった。

「お前は座ってろ」

言い残して主任はキッチンに向かい、床に落ちたお玉や包丁を拾って洗ってくれた。

「雑巾あるか?」

「あ。えと……隅の方に……」

呟くようにして答えると、冷蔵庫の陰に隠していた雑巾を見つけて、主任は床を綺麗にしてくれる。

それから洗面所に向かって……。

えーと。思い出せないのはともかく、今日あったことを総合的に考えてみよう。

主任は唐突に、何の連絡もなくやって来た。そして当然のように年越し神社デートを要求してきた。

それから、今は当たり前みたいな顔をして戻って来て、人ん家のキッチンでネギを刻み始めている。
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