強引な次期社長に独り占めされてます!
きっかけと言われれば今年のハロウィンくらいだけど、それだってお互いに“正体不明”で通したんだし。

正体不明の人間を“好き”になることなんてあるのかな。

それならそれで主任てどんな人なんだろうって、ちょっぴり興味は出てくるんだけれど。

私には知らない人なんて無理。

「私は、つきあっても面白味のある人間ではないんですが」

「面白いから付き合うのか?」

いや、違うかもしれかいけど。

「でも、それなりに何かアクションあってもいいと思うんですが」

「俺、すごーく行動に移している気がするんだが?」

それはそうだ。うん。
デートしたし、今は家に上がってもいる。

「意外に冷静に受け止めてんだな」

「冷静と言いますか、何だか思考が止まったらしいと言いますか」

ポソポソ呟いたら、主任が勝手に戸棚を開け始めた。

「ザルなら、足元の方ですけど」

「あー。サンキュ」

「やっぱり落ち着かないので、何かします」

立ち上がってキッチンに向かい、小鍋をフックから外すと冷蔵庫に保管したうま煮入りのタッパを取り出す。

「どれくらい食べれますか?」

「……俺、そんなに大食漢に思えるか? そば全部茹でたけど」

そばを水洗いしながら、主任が困ったように振り向くから苦笑した。

「おそばは残せばいいんです。そのうち食べますから」

小鍋に二人前位をよそって、それを弱火にかけるて、その間に煮物のタッパをしまって栗きんとんを取り出す。
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