強引な次期社長に独り占めされてます！
「正直言って、男の人の考えることはわかりません。男の人は“綺麗”な女性が好きでしょう？」

何度かしたような疑問符を改めて主任にぶつけると、真面目な顔をしながらも、どこか困ったように主任はそばを指差した。

「とりあえず、それは食え。伸びる」

「はい……」

悶々としながら、お互いに無言でそばをすすった。

テレビのついていない部屋に、そばのすする音。
それから遠くから低くて重みのある鐘の音が聞こえてくる。

「除夜の鐘か……こういう静かな年越しもいいなぁ」

早くもそばを食べ終えた主任が、うま煮を食べながら楽しそうに笑っていた。

私は毎年、こんな感じかな。

時々、マンションの下を騒がしい一団が通りすぎていなくなれば、静けさが戻ってくる。
ゆっくりとした時間が過ぎれば、また新しい年になるんだな……なんて、考えるまでもなく、頭の隅で考えたりしてさ。

目の前の料理を食べ終えて、暖かい番茶を淹れて湯飲みを主任に渡すと、小さく吹き出された。

「なんですか？」

何だか笑われたような気がしてムッとしながら座ると、片手を振りながら主任はお茶を飲む。

「いやいや。確かに“綺麗”な女は嫌いじゃないが、好きになるかどうかは別もんだよなと思って」

話がいきなり戻ったらしい。
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