強引な次期社長に独り占めされてます!
「しっかし、今日の感じからすると、お前の指導役に芳賀を選んだのは正解だったな。お前、めちゃくちゃ可愛がられてるじゃないか」

「あ。はい。可愛がられています」

芳賀さんはとてもいい人です。

たまに男の子のお話になると困っちゃうけれど、仕事はとっても解りやすく教えてくれるし、解らなければ解るまで根気よく教えてくれるし。

歩きだした主任に自然とついて行きながら、実際の歩幅の違いに感心してしまう。それに気がついて主任は小さく笑った。

「悪い。お前が小さいの少し忘れていた」

「小さくないです。平均です!」

「あー……はいはい。でも、やっぱりいいな、お前は」

……何がでしょう?

「普通なら、そこで頑張らないで、歩くの早いって不服言われるところだぞ、今のこれ」

そうかな。そうかもしれないけど。

「まぁいいか……」

主任は微笑みながら、私の手を掴むと、それをそのまま自分のコートのポケットに入れて、ゆっくりと歩幅を合わせて歩いてくれる。

……手、手が握られているよ。

しかもそれをポケットに入れて、にぎにぎされているよ。

どうしたんだろう。何だかとってもご機嫌じゃない?
主任、酔ってるのかな? 絶対にそうだよね?

と言うか。恥・ず・か・し・い・んですが。

これは何? 何の罰ゲーム? 繁華街で手を彼氏のポケットに入れられて、そして歩くなんて、なんの落とし穴?
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