強引な次期社長に独り占めされてます!
「いいから。そもそもコレ労災だから。真面目なのもいいけど、そうしてもらわないと逆に困るから」

そう言われても……。

困ったまんまで、上原主任を見た。

サラサラの黒髪にいつも涼しげな表情の上原主任も、少しだけ困ったように私を見下ろしている。

「君に頼んでいたのは月次報告書だな。心配しなくても締め切りは金曜日だから問題はない」

「上原主任。ここは男らしく僕が引き受けるって言う場面ですよ」

野間さんが呆れて、上原主任はますます困った表情になった。

「いや。僕が彼女の引き継ぎを受けてもいいが、彼女のパソコンの個人認証がわからないと……」

上原主任は真面目だから……。

ちょっと可笑しくなって、クスッと笑うと皆の視線を浴びた。

「……あ、あの。大丈夫、です」

普段、注目を浴びる事なんてないからしどろもどろになって弁解する。

「あ、明日は、退院……出来るんですよね?」

動いたら痛いけど、目眩もさっきほどじゃないし……。

考えていたら、上原主任が頷いた。

「君が寝ている間に検査はほぼ終えている。念のための入院だから、問題がなければ明日は退院だ」

大事になっちゃったなぁ。
決算期ではないにしても、仕事に支障をきたすような事になっちゃって。

そもそも、存在感のない私がいけないのかもしれないけど……。

「君は、普段から顔を出しているべきだな」

え……?

上原主任の言葉にキョトンとすると、野間さんが力強く頷いている。

「上原主任からも言ってあげて下さい。前髪長すぎって。私はもう何ヵ月と言い続けていますから」
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