恋は死なない。
「もしかして、佳音ねえちゃん?」
背後から声を掛けられて、反射的に佳音は振り返った。そこに立っていたのは、目を見張るほど目鼻立ちの整った男の子。ドッジボールを抱えて、今まさに遊びから帰ってきたところのようだ。
「真和(まさかず)くん?」
佳音の記憶の中にある彼は、もっと幼い男の子だったのに、もうほのかに少年の雰囲気を醸し出していた。
「そんなところで何してるの?入りなよ」
真和は佳音の横をすり抜けて、家の中へと入っていく。靴を脱いで、きちんとそれを揃え、洗面所へと向かう。
「お母さーん!佳音ねえちゃんが来たよー。…あっ!佳音ねえちゃんも、帰ったら手を洗わなきゃ!!」
奥のリビングに向かって声を張り上げる真和に促されて、佳音は挨拶をするより先に洗面所で手を洗った。
「なあに?真和、誰が来たって言ったの?」
と、そこへやって来たのは、懐かしい顔。
「……えっ?!あら!佳音ちゃん!?」
佳音の姿を見て、驚いて目を丸くする真琴の腕の中には、まだ生まれたばかりの赤ちゃんが抱かれていた。
「お久しぶりです。お邪魔してます」
手を拭きながら、佳音は頭を下げる。
「まあ、ホントに久しぶりね!二年ぶりくらい?」
嬉しそうに笑顔を輝かせてくれる真琴に会って、佳音は硬直した自分の心がホッと解けていくのが分かった。