恋は死なない。
和寿を苦しめるわけにはいかない。だけど、自分を圧迫して息もできなくなりそうなこの不安と苦しみを、どうすればいいのか分からない。
ただ、今分かっていることは、一人でいてはいけないということだ。一人でいたら、また衝動的に自分の命を絶とうとするかもしれない。
何も感じなくなった先ほどの感覚……。苦しさに負けて、またあの感覚に陥ってしまいそうだった。
佳音は、鳴り響くベルとともにホームに入ってきた電車のドアが開くと、人々の流れに導かれるように、それに乗った。行先は自分の工房ではない。救いを求めて、きっとそれが得られる、たった一つの場所へと向かった。
工房がある最寄りの駅に到着しても、佳音は電車を降りなかった。各駅停車の電車でゆっくりと時間をかけて、そこを目指す。終点で降りて、バスに乗り、そして歩く。目的地の一戸建ての家にたどり着いたのは、もう夕暮れ時だった。
何の連絡も入れずに突然来てしまって、きっと困惑されるに違いない。そう思うと、ためらいで意志が鈍り、なかなか玄関のインターホンを押すことができなかった。