恋は死なない。
和寿は……、古庄が真琴を求めているように、佳音のことを求めてくれているだろうか……。美しく溌剌とした婚約者がいても、社長になることを約束されていても、それらをすべて捨てて、何も持っていない佳音のことを求めてくれるだろうか……。
心から愛された実感を味わったことのない佳音にとって、それを信じるのはとても難しいことだった。佳音が真琴の言ったように思えるには、とうてい自信が足りなかった。
「だけど、あの人はもう姿を見せてくれないし。結婚式も迫ってきてるし。やっぱりこんな私のことなんて、もう忘れてしまってる……」
佳音は唇を震わせながら、切ない涙をまたこぼす。
そんな涙を流す佳音を見て、古庄もため息をこぼす。そのとき、手を伸ばしてきた円香に目をやると、気を紛らわせるように真琴の腕から抱き上げた。
「たやすく他人に心を開かないお前が、心から好きになった男だ。そんな薄情でいい加減な男のはずがない。『愛してる』といった言葉も、絶対に嘘じゃない。きっと今ごろ、死ぬような思いをしてでも『なんとかして』いるはずだ」
古庄の言っていることは何の確証もないものだったが、同じ経験をした者だから言える力強さがあった。
勇気づけるように佳音に優しく微笑みかけて、古庄は言葉を続ける。