恋は死なない。
古庄はそう語りながら、何度も真琴と視線を交わして、想いを通い合わせているようだった。
真琴もしみじみと噛みしめるように、古庄の言葉を聞いてから、自分の想いを語り始める。
「……誰も傷つけずに幸せになれたら、それが一番だけど。建前を重んじたり義理を通しても、すべてがうまくいくわけじゃないし、それで幸せになれるわけじゃないって、今は思えるの。……親友を裏切って傷つけてまで想いを通じ合わせても、罪の重さに堪えられないと思ってた。後ろ指をさされることも、怖かった。佳音ちゃんの場合は、自分の仕事への信頼性も揺らいでしまうかもしれない。……でも、一番大切なものは、なに?」
佳音は問いかけられて、真琴の目を見つめながら考える。
今の佳音にとって一番大切なものは、母親と断絶してまで夢を実現させた工房ではなく、愛しい和寿と……、自分の中に息づく和寿がくれた小さな命だった。
じっと佳音を見つめ返して、真琴は佳音の瞳の奥に真実が光ったことを見て取って続ける。
「ただ私は、この人に……古庄先生に幸せになってほしいって、それだけを思ったの。この人は心から私を求めてくれていて、その幸せのためには自分が必要なんだって気づいたとき、自分を縛り付けていたしがらみからスッと解き放たれた気がしたの」