恋は死なない。
幸世の言葉を聞きながら、佳音は堪えきれず涙をこぼした。
佳音の境遇を理解して、こんなふうに言ってくれる幸世の懐の深さに、佳音の心が震えた。
涙を拭うばかりで何も言葉を発せられない佳音の代わりに、和寿が幸世に頭を下げた。
「……ありがとう。君にそう言ってもらえると、佳音の心も軽くなって、これからも仕事を続けられるよ。佳音にとって、夢を叶えた大事な仕事だから……」
まるで佳音と一心同体のような、和寿の言い方を聞いて、幸世はしげしげと和寿を見返した。
「そりゃ、古川くんから、突然『結婚できない』って言われたあの時は、腹も立ったわ。だから、このドレスだって燃やそうとしたし、涙も出た。だけど、今はこうなって良かったって思ってるの。……私もね、今、好きな人がいるから」
「……えっ?!」
意外なことを言い出した幸世に驚いて、今度は和寿の方が幸世を見返した。佳音も泣いていた顔を上げて、びっくりしている。そんな様子を見て、幸世は少しきまりが悪くなった。
「……そ、その人とは結婚がダメになった後に、知り合ったのよ?まだ、私の片想いだけど。でも、その人が現れてくれて、本当に人を好きになるってどういうことか分かったの。自分を止められなかった古川くんの気持ちが、よく分かるのよ。やっぱり結婚は、好きな人としたいものね」