恋は死なない。
「アハハハ!私たち結婚しても、きっとすれ違い夫婦になるわね」
和寿から事実を指摘されても、幸世はそれを悲観するでもなく高らかに笑った。
和寿はそれに辟易したように眉をひそめて、テーブルの向かいに座る佳音へと目配せした。
こんな目線を送られても、佳音は困ってしまう。幸世に黙って和寿に会っていた後ろめたさに、心臓が押しつぶされそうになる。
しかし、幸世はそんな和寿を見て、佳音に向き直った。
「今日は、本当にこの人、珍しく一緒に来てくれたのよ?二度目の仮縫いができたから試着に行くって言ったら、即答で『行く』って言ってくれたわ。きっと、森園さんに会いたかったんじゃない?」
幸世は笑いを漏らしながら冗談のつもりで言ったのだろうが、幸世のその言葉は佳音の心臓に追い打ちをかけた。ドキンドキンと大きな鼓動が体中に響き渡って、自分が今どんな顔をしているのかさえ意識できなかった。
「また。そんなことを言うと、森園さんが困っているじゃないか。そうやって、周りにいる人間を誰彼かまわずからかうの、君の悪い癖だぞ」
和寿がそう言って、なんと言って答えようかと窮している佳音を助けてくれた。
「アハ!からかっているつもりはないんだけど、ごめんなさい。……あっ!もう四時になるわね。この後レイコと約束があるのよ、映画見にいくの」