砂糖菓子より甘い恋1
「お前は知らない
辛くて、苦しくて、人を殺めたくなるこの気持ちを。
お前は知らない
だから、死んでしまえ」
女の形をしたものの、瞳がますます強い光を帯びる。
声は、獣のうなり声のように低い。
息が、苦しい。
胸が、痛い。
身体が重い。
じりじりと、後ずさる。
女はなおも報われない戯言を延々と言いながら、毬のほうへと近づいてくる。
苦しい。
頭が痛い。
声が出ない。
気を失いそうになって、彼女は思わず自分の手のひらで小刀の刃を握り締めた。
「きぃやぁあっ」
唇をかみ締めて痛みに耐えようとしたが、考える前に悲鳴は漏れていた。
ぽたり、ぽたりと。
紅い血が床へと滴る。
近づいてきた女の胸に、毬はほとんど無意識にその短刀を突き刺していた。
……しかし、相手は妖(あやかし)
空を刺したようなむなしい手ごたえしかなく、毬はぎゅうと目を閉じた。
こんなことなら、都になんて戻ってこなければ良かった。
嵐山で鄙びた日々を過ごしていれば良かった。
思わず、閉じた瞳から涙が零れる。
そのとき。
「ぎぃやあああああ!!!」
と、獣が深手の傷を受けたような、けたたましい悲鳴をあげて女は身を翻した。
辛くて、苦しくて、人を殺めたくなるこの気持ちを。
お前は知らない
だから、死んでしまえ」
女の形をしたものの、瞳がますます強い光を帯びる。
声は、獣のうなり声のように低い。
息が、苦しい。
胸が、痛い。
身体が重い。
じりじりと、後ずさる。
女はなおも報われない戯言を延々と言いながら、毬のほうへと近づいてくる。
苦しい。
頭が痛い。
声が出ない。
気を失いそうになって、彼女は思わず自分の手のひらで小刀の刃を握り締めた。
「きぃやぁあっ」
唇をかみ締めて痛みに耐えようとしたが、考える前に悲鳴は漏れていた。
ぽたり、ぽたりと。
紅い血が床へと滴る。
近づいてきた女の胸に、毬はほとんど無意識にその短刀を突き刺していた。
……しかし、相手は妖(あやかし)
空を刺したようなむなしい手ごたえしかなく、毬はぎゅうと目を閉じた。
こんなことなら、都になんて戻ってこなければ良かった。
嵐山で鄙びた日々を過ごしていれば良かった。
思わず、閉じた瞳から涙が零れる。
そのとき。
「ぎぃやあああああ!!!」
と、獣が深手の傷を受けたような、けたたましい悲鳴をあげて女は身を翻した。