砂糖菓子より甘い恋1
三 砂糖菓子より甘い恋
「毬!」
意識が遠ざかりそうになる毬を、芯の強い声が呼び止めた。
毬は顔をあげる。
心配そうな龍星がそこにいた。
「鬼は?」
「消えたわ」
「止めをさそう。雅之と一緒に外へ」
言われて、隣にいる雅之に気付いた毬は、思わず龍星の着物を掴んだ。
白い服に深紅の血が染みていく。
「嫌」
真っ青な唇が震えている。しかし、部屋の妖気が高まっていくのを感じている龍星はそれに構うわけにはいかなかった。
「雅之、連れて出ろ」
強引に手を引き離す。
「私に触れないで」
毬は力を振り絞って、雅之を突き放そうとした。
そのただならぬ気迫に押され、雅之は毬から離れる。
「手は頭の上に上げておいた方が良い」
雅之は必死で立っている毬に助言した。
毬は言われるがまま、血が滴る右手を上にあげる。
土蔵の中から龍星の呪文を唱える声が低く響いていた。
意識が遠ざかりそうになる毬を、芯の強い声が呼び止めた。
毬は顔をあげる。
心配そうな龍星がそこにいた。
「鬼は?」
「消えたわ」
「止めをさそう。雅之と一緒に外へ」
言われて、隣にいる雅之に気付いた毬は、思わず龍星の着物を掴んだ。
白い服に深紅の血が染みていく。
「嫌」
真っ青な唇が震えている。しかし、部屋の妖気が高まっていくのを感じている龍星はそれに構うわけにはいかなかった。
「雅之、連れて出ろ」
強引に手を引き離す。
「私に触れないで」
毬は力を振り絞って、雅之を突き放そうとした。
そのただならぬ気迫に押され、雅之は毬から離れる。
「手は頭の上に上げておいた方が良い」
雅之は必死で立っている毬に助言した。
毬は言われるがまま、血が滴る右手を上にあげる。
土蔵の中から龍星の呪文を唱える声が低く響いていた。