『ゆる彼』とワケあり結婚、始まりました。
元鞘に収まる…?
「おかえりなさーいっ!」

元の職場の同僚達から諸手を挙げて喜ばれた。
青白い顔をしてる係長は、あたしの再就職に涙した。

もう一度、働かせて下さい…と電話でお願いしたのは、久城さんとこから帰って一週間も経たない頃だった。
資格保持者の少ないこの施設では、願ったり叶ったりだ…と喜ばれた。


「本当によく復帰してくれた。ありがとう。感謝してるよ!」


施設長までが握手を求めてくる。
その手を無遠慮に払って、あたしは係長の顔を眺めた。


あたしがいきなり辞職宣言をしたせいで、彼女は自分の責任だと思い込んだ。
担ってた仕事を一手に引き受け、オーバーワークを繰り返した。

当然のように無理をする結果となり、早々に体調を崩して休職した。
そのせいですっかり痩せてしまい、あの頃のような覇気もない…。


「お体…大丈夫なんですか?」


こっちは十分過ぎるくらい休ませてもらった。
復帰なんて、ホントは絶対にするつもりもなかったけど。

…実家に帰って、何もやることの無い日々が急に退屈になり始めた。
おばあちゃんのお世話をしていた毎日は、ある意味何らかの再就職熱に繋がったらしい。


「もう大丈夫よ。甲本さんも帰ってきたし、また一から一緒に頑張りましょう」


係長は、以前のような人柄に変わってた。
あたしが抜けてからケアマネ業務をこなすうちに、いかに大変な作業だったかを再確認したようだ。

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