〔B L〕朽ちた無花果

………………

はっ
息止まってた…!

「…ハハッ、びっくりしたって顔してる。」

いやいや、びっくりもなにも、豹変しすぎでしょ…!

さっきまで優しい声で淡々と話してたのに、急に声が低くなるし…!

「これが俺の素。
久々に出したわー。」

「メンバーは、知ってるんですか?」

「知るわけないだろ。
俺が望んであのキャラ作ってるわけだし。」

望んで?
どうして。

「アイドルグループってのは、バランスが大事なんだよ。

天然キャラ、クールキャラ、俺様キャラ。
3人グルならこの辺が定番か?

まぁいいや。
だから俺がクールキャラならぬ、優男演じてるわけ。」

だから常にニコニコしてるのか…。

「ずーっと笑ってんのも結構疲れるもんなんだよなー。

だからアンタんとこ来たってのもあんのかも。
なーんつって。

まぁそんなとこだからさ、アンタが俺を看てくれよ。」

升也さんの素顔は、誰も見ることを許されない。
< 41 / 79 >

この作品をシェア

pagetop