この度、友情結婚いたしました。
けれど春樹の手は私の頬を優しく撫でたまま。


「ん……昨日まではそうだったんだけど……さ」

「――え、きゃっ!?」


肩を押され、視界が反転する。
天井の真っ白いクロスが目に入ったと思ったら、すぐに春樹が私の視界を遮った。


「……春、樹?」


冗談にしたってこれは酷過ぎる。

まるで別人のような彼に、瞬きさえできない。

目を少しだけ細め、頬を撫でていた手は下唇に触れた瞬間、心臓が飛び跳ねた。


「お前、意外と寝顔可愛いのな。ずっとまどかとだけはデキないと思っていたけど、イケるかも。……つーか、したい」


春樹の男の一面に初めて触れて、胸がギュッと締め付けられる。

相変わらず私の唇に触れる指。少しずつ近づく距離――。


なにこれ。まさかいまだに夢の中なの?
うん、きっとそうだよ。だってこんな春樹ありえない。私にキスしようとする春樹なんて、私が知っている春樹じゃない。
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