この度、友情結婚いたしました。
「琢磨が言っていたこと、嘘じゃないんだろ?……だったらどうして泣いたりしたんだよ。もう見慣れている光景だろ?今まで散々同じような場面、目撃してきたんだから」


春樹の言う通りだ。
それはもう嫌になるくらい目撃してきた。


中学時代から今までずっと。
それは友情結婚してからも同じだった。結婚当初から遊んできたし。……あの時はなにも感じなかった。

ただ、迷惑かけてくれなければいいと思っていたのに――。

「なんか言えよ、まどか」


なにも話さない私に痺れを切らしたように、掴む腕の力を強めてきた。
痛みに顔を顰めるも、春樹は一向に力を弱めてくれない。


分かっている、なにか言わないといけないって。

いいじゃん。いつものノリで「琢磨がいたから演技しただけ」って誤魔化せば。
そうすれば春樹だって納得してくれるはず。


けれどそう思っていても、声が出ないの。
どうしてか分からないけれど、嘘をつくこともごまかすこともできない。

だって昨夜、私が泣いてしまったのは演技でもなんでもなかったから。


「なぁ……なにも言わないってことは、俺のいいようにとってもいいってことか?」

「――え……キャッ!?」
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