この度、友情結婚いたしました。
琢磨に殴られてできた傷が唇に当たり、一瞬にして口の中に広がる鉄の味に、眩暈を起こしてしまいそうになる。


重なる唇、密着する身体、上がる息――。

全てに羞恥心を煽られ、なにもかも忘れてしまいそうになる。

春樹との間にあるのは、友情のみ。

そう信じて疑ってこなかった。


けれどなにも考えず、理性さえも取っ払って本能に従ってしまおうか……。それさえも思ってしまった時、唇が離れると同時に素早く春樹の腕が肩と両膝の内側に触れ、抱き抱えられてしまった。


「春……樹?」

キスの余韻が抜けなくて、おぼろげに春樹を見つめると、彼は苦しそうに表情を歪めた。

「そんな顔すんなよ、ベッドまで待てなくなるだろ?」


そう言うと靴を脱ぎ、私を抱き抱えたまま歩き出した。

大きく揺れる振動に、徐々に頭の中がクリアになっていき、そして興ざめていく。


「ちょっ、ちょっと春樹?どこに連れていくつもり?」

いや、その前にどうしてキスをしてしまった?私!!

「は?いまさらそれを聞くか?あんなキスしておいて。悪いけど今日は寝かせねぇから」

「……っ!」

艶っぽく男の色気が漂う彼に、顔が熱くなっていく。
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