この度、友情結婚いたしました。
キョトンとしてしまうと春樹は舌打ちをし、乱暴に私の手を取った。

「デートと言ったら、手を繋ぐのは鉄板だろ。今日は一日これな」


わざと繋いだ手を掲げて見せる春樹に、熱を帯びていく。
そんな私を見て、春樹は意地悪そうに笑った。


「いいじゃん、そういう顔。デートっぽい」


デートっぽいって……!
余計照れ臭くなっちゃうじゃない。

繋いだ手を引かれ、アパートを後にしていく。


「そういえば、まどかとこういう風に手を繋いで歩くのなんて、子供の時以来だな」

「子供っていうか、幼少期以来じゃない?」


思い出そうとしても思い出せないほど昔なのは確か。
だから余計照れ臭い。この歳になってまた手を繋ぐとか。


「そうかも。幼稚園の時はよく手を繋いで一緒に通っていたよな。さも当たり前かのように」

「……そうだったね」


つい昔を思い出してしまう。

小さい頃はお互い兄妹がいなかったからか、毎日一緒に過ごしていたっけ。
よくお泊り会もしていたし。

そう思うと、私と春樹って本当に生まれた時からずっと一緒だったんだ。

チラッと隣を歩く春樹を見上げる。
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